WISCの「高いスコア」と本人の「苦手」という実感。なぜ、検査と現実は食い違うのか?GIERIが解き明かす、知能検査の数値の「裏側」
GIERIの代表、石川です。
私たちは、ギフテッドや2E(Twice-Exceptional)の方々の支援を行う中で、日々多くのご相談をいただきます。その中でも特に多いのが、「WISC(ウィスク)知能検査の数値は高いのに、本人の生きづらさが全く改善しない」という、ご家族やご本人の切実な悩みです。
「うちの子はWMI(ワーキングメモリー)が120を超えているのに、なぜか口頭の指示が全く入らないんです」 「報告書には『能力が高い』と書いてあるのに、なぜ本人はこんなに自信がなく、簡単なこともできないのでしょうか?」
結論から申し上げます。 その矛盾は、検査の「数値(スコア)」だけを見て、その「プロセス(なぜその数値になったのか)」を正しく読み解けていないことから生じています。
あるクライアント様(Mさん)との出会い
先日、GIERIに一人のクライアント様(Mさん・20代女性)がご相談に来られました。彼女もまた、高い知能と深い生きづらさのギャップに悩んでおられました。
私たちがまず拝見したのは、数年前に受けたWISC-IVの検査報告書です。そこには、非常に特徴的な数値が並んでいました。
処理速度 (PSI): 135(非常に高い)
ワーキングメモリー (WMI): 123(高い)
知覚推理 (PRI): 95(平均)
特にWMI(聴覚的な短期記憶)が123と高い数値を示している。これだけを見れば、多くの支援者は「Mさんは耳からの記憶が得意です。もっと自信を持って」と助言するでしょう。
しかし、私たちは面談でHさんご本人に尋ねました。
「WMIが123と高いですが、ご自身の実感として、耳からの記憶は得意ですか?」
Mさんは、きっぱりとこう答えました。 「いいえ、全く。基本、聞いたことは覚えていられないです。メモを取らないと数秒で忘れますし、指示が3つ重なると崩壊します」
ここに、WISC解釈の最大の落とし穴があります。
数値「123」の裏に隠された「才能」と「困難さ」
なぜ、WMIのスコアは高いのに、ご本人は聴覚記憶が苦手なのか? 私たちは、報告書の隅に書かれていた、検査者によるある「小さなメモ」を見逃しませんでした。
「検査中、数字を色として感じることや、色の濃淡によって並べ替えしている、と教えてくれました。(中略)これを用いたゆえの結果であると推察されます」
これが答えでした。
Mさんは、WISCの検査中、「3、1、9」という数字の音を「聴覚情報」として処理していなかったのです。 彼女は、耳から入ってきた「3、1、9」という音を、瞬時に「水色、白、黒」といった「視覚情報(色)」に頭の中で変換し、その「色の並び」を記憶するという、『共感覚』という桁外れの才能を使ってハイスコアを出していたのです。
つまり、彼女の現実はこうです。
真実の姿①: ルールが明確な「数字」は、得意な「色(視覚)」に変換できるため記憶できる。
真実の姿②: しかし、ルールが曖昧な「上司の口頭指示」や「雑談」は、色に変換できないため処理できず、「数秒で忘れる」。
彼女のWMIの「123」という数値は、「聴覚記憶の高さ」を示していたのではなく、「聴覚の弱さを補って余りある、驚異的な視覚変換能力(才能)の高さ」を示していたのです。
もしGIERIがこの分析をせず、数値だけを鵜呑みにして「耳を鍛えましょう」などという見当違いな支援をしていたら、彼女の苦しみは増すばかりだったでしょう。
GIERIの支援は「ズレ」から始まる
GIERIの専門性は、この「ズレ(データと現実の食い違い)を徹底的に分析することから始まります。
なぜ彼女は、「幾何(図形)」は壊滅的だったのに「代数(数式)」は得意だったのか? →(WISCのPRIの凹凸が示す通り、視覚的な曖昧さが苦手だが、論理とルールは得意だから)
なぜ彼女は、「インターン」は続かなかったのに野讀時郎バイト」は3年続いたのか? →(「お客さん」と「店員」という明確な役割・境界線が引ける環境だったから)
なぜ彼女は、髪を染めただけで吐き気を催し、抗不安薬を飲んだのか? →(それが単なる「こだわり」ではなく、自己同一性を守るための「心身の防衛反応総合的にから)
WISCの報告書は、それ自体が答えではありません。 それは、ご本人の苦しみと才能の理由が隠された地図なのです。
その地図をマニュアル通りに眺めるだけでは、何も解決しません。同じ検査結果数値でありながら、社会で何の問題もなく過ごしている人は沢山いるのです。数値結果ともに、何故、私たちに相談する必要があったのか、個別の答えを探っていかなければなりません。
私たちGIERIの仕事は、その地図をただ眺めることではなく、ご本人との対話を通じて、その地図に隠された「なぜ」を解き明かし、ご本人も気づいていない「本当の強み」と「正しい戦い方」を言語化することです。
もし、あなたやあなたのお子さんが、WISCやWAISの数値と現実のギャップに苦しんでいるのなら。 その「地図」を持って、一度GIERIの「作戦会議」にお越しください。 私たちは、数字の裏側にある、あなたの唯一無二の物語を読み解くお手伝いをいたします。
検査結果等の「地図」の解明を希望する方は、メール相談がおすすめです。
「メール相談サービスについて」をご参照ください。
数値結果以外に、ノートや作品、テストや成績結果などを含めて総合的に分析を依頼したい方は、「メール・インデプス相談」がおすすめです!
個別のご相談については、どうぞお気軽にお問い合わせください。
検査結果等の「地図」の解明を希望する方は、メール相談がおすすめです。
「メール相談サービスについて」をご参照ください。
数値結果以外に、ノートや作品、テストや成績結果などを含めて総合的に分析を依頼したい方は、「メール・インデプス相談」がおすすめです!
個別のご相談については、どうぞお気軽にお問い合わせください。
■■ お問い合せや相談 ■■
Gifted International Education Research Institute
GIERI|ギフティッド国際教育研究センター
公式LINE/お問い合わせはこちら
→ https://lin.ee/fZNo30U
/////////////////////////////////////////
Gifted International Education Research Institute
GIERI|ギフティッド国際教育研究センター
公式LINE/お問い合わせはこちら
→ https://lin.ee/fZNo30U
/////////////////////////////////////////

コメント
コメントを投稿