投稿

10年のブランクを越えて。面接練習なしで挑んだ「障害者就職面接会」参加レポート

イメージ
 GIERI(ギフティッド国際教育研究センター)の代表、石川です。 昨日は、東京ビッグサイトで開催された「令和7年度 第2回 障害者就職面接会」に参加してきました。今回は、 10年以上のひきこもり経験を持つ方 と同行し、人生の大きな一歩を共に踏み出した一日となりました。 今回のブログでは、当日のリアルなレポートと、あえて「面接練習をしない」という私たちの決断、そして会場で見えた 「残酷なまでの企業の二極化」 について、支援のプロとしての視点から綴ります。 「こんなはずじゃなかった」を生まないために 今回、私たちが同行したメンバーは、10年以上の社会的空白(ひきこもり期間)がある方です。就職活動自体が、人生でほぼ初めての経験でした。 通常、就労支援といえば「徹底的な想定問答」や「模擬面接」を行うのがセオリーかもしれません。しかし、今回私たちは 「事前の面接練習を一切しない」 という戦略をとりました。 なぜか? それは、 「入社後のミスマッチ(ギャップ)」を防ぐため です。 パターン化された受け答えで面接を乗り切っても、働き始めてから「本当の自分」との乖離に苦しむのは本人です。 「お互いに『こんなはずじゃなかった』とならないように、自分の言葉で、本音を語ってほしい」 そんな想いから、あえて丸腰で、生のコミュニケーションを肌で感じてもらうことにしました。その代わり、徹底的な自己理解を行います。 結果は、5社の面接を完走。 ご本人は「2社は落ちたと思う」と冷静に自己分析されていました。この「生の経験からの振り返り」こそが、何百回の練習よりも勝る財産なのです。 企業側からも、 「体験実習に来てみませんか?」 「応募の職種とは違うけれど、あなたの適性に合いそうな別の職種があるので紹介したい」 といった、書類だけでは生まれない対話が生まれました。合否の結果は1週間後ですが、まずは「まずまずのスタート」だったと言えます。 当日の「攻略法」と「注意点」 これから参加される方のために、現場で感じたリアルな注意点を共有します。 1. 情報公開の遅さと手続きの短さ  今年度2回目の開催でしたが、詳細な日程や企業情報が公開されたのは12月に入ってから。「いつになるのか」とヤキモキしました。また、申込期間が実質1ヶ月しかないので、ハローワークからの情報を逃さない注意が必要で...

「才能」の前に、守るべきものがある―ギフテッド・2Eの子どもが発する「命のサイン」を見逃さないために

イメージ
 GIERI(ギフティッド国際教育研究センター)の石川です。 私たちのもとには、日々、ギフテッドや2E(Twice-Exceptional:二重の特別支援ニーズ)のお子さんを持つ親御さんから、多くの相談が寄せられます。 「学校に行かず、家でゲームばかりしている」  「やるべきことをやらず、甘えているだけではないか」 「もっとこの子の才能を伸ばすにはどうしたらいいか」 そうした教育熱心なご相談の中で、時折、私たちの背筋が凍るようなお話が出てくることがあります。 それは、お子さんに リストカットなどの自傷行為 や、「消えたい」「死にたい」という言葉(希死念慮)が見られるにもかかわらず、親御さんがそれを「思春期特有の気を引く行為」「逃げているだけ」と捉え、重要視されていないケースです。 「才能を伸ばすこと」と「命を守ること」。 この優先順位を誤ると、取り返しのつかないことになります。 先日、私たちは武蔵野大学教授であり、自殺予防のスペシャリストである小高真美先生の講演を受講しました。その学びを共有し、今、苦しんでいるお子さんと、その才能を信じる親御さんに伝えたいことがあります。 1. 「甘え」ではなく「心理的視野狭窄」 不登校やひきこもり状態にあるお子さんに対し、「甘えている」「怠けている」と感じてしまうことがあるかもしれません。しかし、小高先生の講義によれば、死にたいとまで思い詰めている人の心理状態は、 「心理的視野狭窄(しんりてきしやきょうさく) にあると言います 。 これは、「今の苦しみから逃れるには、もう死ぬ以外に選択肢がない」としか考えられない状態です 。 外から見れば「学校に行く」「休む」「転校する」など選択肢があるように見えても、本人の心の中では、それらがすべて閉ざされ、追い詰められています。 「やるべきことをしていない」のではなく、「生きるだけで精一杯」の状態なのです。これを「甘え」と断じて追い込むことは、孤立感を深め、リスクを高めることにつながります 。 2. 「リストカット」は最大の危険信号 「死ぬ気はないけれど、リストカットをしている」「死にたいと口にする子は、本当は死なない」 もしそう思われているとしたら、それは 誤り(俗説) です 。 小高先生が示したデータによれば、 自傷行為(リストカットなど)の経験者は、そうでない人に比べ...

【留学サポート事例】「カナダに行けないなら、日本に会場を作ればいい」!― 制度の壁を突破し、学位と単位を守り抜いたGIERIの交渉戦略 ―

イメージ
はじめに:その「完全オンライン」は、本当に完結しますか? 「日本にいながら、カナダの正規学位が取れる」 その言葉を信じて学習を積み重ねてきたのに、卒業目前にして 「最終試験や実験はカナダ現地で受けなければならない」 という事実に直面したら、あなたならどうしますか? 多くのエージェントはこう言います。「残念ですが、他の完全オンライン大学へ転学しましょう」と。 しかし、GIERIの答えは違います。 「制度がないなら、交渉して作りましょう」 今回は、カナダのトンプソン・リバース大学(TRU)に在籍するAさんの事例を通じ、私たちがどのようにして大学間の壁を越え、日本国内での単位認定を実現させたのか。その舞台裏と、そこに込めた支援の哲学をお話しします。 CASE:Aさんの直面した「詰み」の状況 Aさん(理学部在籍)は、TRUのオンライン課程で着実に単位を取得し、すでにサーティフィケートも手にしていました。しかし、一部の必須科目において「対面での試験監督(Proctor)」や「実験」が必須であることが判明。 TRU指定のオンライン監視システム(ProctorU)が使えない科目があり、大学側からは「カナダ国内の提携センターに来るように」との通達がありました。 Aさんには発達特性(ASD傾向等)があり、急激な環境変化や長距離移動、慣れない土地での滞在は、学習パフォーマンスを著しく低下させるだけでなく、心身の健康を損なうリスクがありました。 ここでの一般的な選択肢(プランB) 通常、ここで提案されるのは「アサバスカ大学(Athabasca University)などへの転学」 です。 しかし、これには大きな 「サンクコスト(埋没費用)」が発生します。 ❌ 単位の喪失: 移行時に一部の単位が認められないリスク。 ❌ 経済的負担: 新たな入学金や評価料の発生。 ❌ 手続きの負荷: 英文書類の再提出やシラバスの照合。 私たちは考えました。「Aさんが積み上げてきた努力を、1ミリも無駄にしたくない」と。 STRATEGY:GIERIの戦略的介入 私たちは「転学」という安易な道を選ばず、「TRUに在籍したまま、日本で試験を受ける特例措置」を勝ち取るための交渉に乗り出しました。 1. 相手の「ルール」をハックする 大学側が最も恐れるのは「不正行為」と「アカデミック・スタンダードの低下」です。...