【第2回】「教科書は毎回、写真で見えるよ」― IQ70の診断と、才能を隠す少年の真実
「本当に驚きと嬉しさで『YES!』と叫んでしまいました(笑)」 GIERI(ギフティッド国際教育研究センター)でのコンサルティング後、あるお母様から届いたメールの一文です。彼女が心からの歓喜の声を上げた背景には、長年抱え続けてきた「我が子への違和感」と、社会から突きつけられた「診断」との間の、深い孤独な葛藤がありました。 IQ70という数字と、瞳孔が開く瞬間 ハルキ君(仮名)は、学校の勉強、特に読み書きに著しい困難を抱えていました。医療機関での知能検査の結果は「IQ70(境界知能)」。一般的な基準で見れば、学習に大きな遅れがあり、手厚い支援が必要な状態と判断されます。 しかし、お母様はどうしてもその数字を信じきれませんでした。なぜなら、ハルキ君は日常の中で時折、大人が息を呑むような知性のきらめきを見せていたからです。例えば「核融合」という難しい言葉を聞いた途端、彼の目の瞳孔が開き、一瞬で表情が変わるほどの強い知的好奇心と理解力を持っていました。 「教科書は毎回、写真で見えるよ」 GIERIでお話を伺い、彼の認知特性を紐解いていく中で、驚くべき事実が判明しました。お母様が「もしかして、教科書のページが写真のように頭に浮かんでいるの?」と尋ねると、彼はあっさりと「毎回そうだよ」と答えたのです。 彼は、視界に入ったものをそのまま画像として記憶する「写真記憶(フォトグラフィック・メモリー)」の持ち主でした。さらに、耳からの情報処理にも極めて優れていました。それにもかかわらず、漢字テストで0点を取ってしまうのは、頭の中にある完璧な映像を「手を使って紙に書き出す」という出力(書字)の機能に極端な困難(ディスグラフィア)を抱えていたからです。 さらに彼は、自分が周囲の友人と「見えている世界」が違うことに気づき、浮いてしまうことを極端に恐れ、無意識のうちに自衛のために能力を隠蔽していました。IQ70という数字は、彼の能力の低さではなく、「才能を隠すための鎧」と「出力のボトルネック」が引き起こした結果に過ぎなかったのです。 愛情深い「壮大なプロジェクト」 お母様は、ハルキ君のプライドを傷つけないよう、言葉で直接指導するのではなく、手話のようなジェスチャーを交えたり、興味を引きそうな環境をそっと整えたりする「非言語的(ノンバーバル)」なアプローチを続けてこられました。「私の...