偏差値では測れない「大学の相性」。2E男子が直面する「キラキラ」という名の見えない壁

こんにちは。GIERIでは発達特性のある学生の進学・学習支援を行っています。共通テストが終わり、いよいよ私大入試や国公立の出願校決定が迫る時期ですね。

この時期、多くの親御さんや受験生本人が「偏差値」や「就職実績」とにらめっこしていると思います。

しかし、長年、高IQで自閉スペクトラム症(ASD)や感覚過敏を持つ「2E(Twice-Exceptional)」タイプの男子学生を見てきて、痛感することがあります。

それは、「入学後のドロップアウト(燃え尽き)の原因は、勉強の難しさではなく『キャンパスのキラキラ度』にあることが多い」という事実です。

今日は、一般の受験情報誌には絶対に載っていない、しかし特性のある学生にとっては死活問題となる「感覚的・社会的負荷」から見た大学選びについて、最新の調査データや現場の肌感覚を交えてお話しします。

以下は、GIERIが受験生を支援する中で調べた情報をもとに記載しています。
最後の出願前に参考にしてください。


「キラキラ」はただの「派手さ」ではない

私たちが支援現場でよく使う「キラキラ度が苦手」という言葉。

これは単に「陽キャが怖い」という性格の問題ではありません。感覚過敏やASD傾向を持つ脳にとって、キラキラしたキャンパスは「高強度の感覚的・社会的ノイズ」として襲いかかってくるのです。

ある詳細な調査報告書によると、以下の要素が「通学継続の最大の障壁(ボトルネック)」になると分析されています1

  1. 視覚的刺激(ファッション): 「洗練されたコンサバ」や「流行のメイク」の洪水は、視覚過敏の学生にとって常に「自分が異物である」という緊張感を強いる環境です

  2. 嗅覚的刺激: 香水や整髪料の匂いが充満する教室や食堂は、感覚過敏の学生にとって耐え難い空間になり得ます

  3. 同調圧力(空気を読む): 「ウェイ系」と呼ばれる社交的な文化や、ハイコンテクストな女子学生の比率が高い環境では、「暗黙の了解」を読み続ける脳のリソース消費が激しくなります

落とし穴としての「人気有名私大」

例えば、偏差値も人気もトップクラスの慶應義塾大学商学部や立教大学。

これらは素晴らしい教育環境ですが、特性のある学生にとっては「最高レベルの警戒」を要する環境でもあります。

  • 慶應(商)のジレンマ:

    実はカリキュラム自体は非常に相性が良いのです。1・2年で「微積分」や「統計学」が必修化されており、答えが一意に定まる数学的アプローチを好むASD学生には心地よい知的環境です。

    しかし、キャンパス文化は屈指の「キラキラ度」。日吉キャンパスの人口密度と、内部進学者を中心とした洗練された社交文化は、感覚過敏の学生にとって「轟音」の中にいるようなストレスを与えます。

    ※内部生やキャンパス文化は商学部だけの問題ではありません

  • 立教(文・心理)の壁:

    赤レンガの美しいキャンパスを行き交うおしゃれな学生たち。この「美しさ」こそが、ジャージや機能性重視の服を好む彼らにとって「場違い感」を突きつけます。服選びという実行機能タスクだけで、朝のエネルギーを使い果たしてしまうのです。


目指すべきは「知の要塞」と「ジャージの園」

では、どのような環境が彼らの「生存率」を高めるのでしょうか?

「偏差値」ではなく「環境適合率」で見た場合のトップ校の例をご紹介します。


1. 一橋大学 社会学部

ここはまさに「知の要塞」です。

国立(くにたち)キャンパスは森のように静かで、商業的な騒がしさがありません。学生のファッションも地味で機能的。「賢い変人」が許容される空気があります。

ゼミは必修ですが、そこにあるのは感情的な馴れ合いではなく「知的格闘」。論理で会話ができるため、ASD学生の得意分野が活きます。


2. 筑波大学 社会学類

ここは「最強のセーフティネット」と言えます。

キャンパスが広大すぎて、一人でいても誰からも干渉されません。ファッションは「ジャージ・スウェット」が標準。キラキラ度とは無縁です。

さらに、発達障害支援の専門家が学内に配置されており、科学的根拠に基づいた配慮が受けられる点も安心材料です。


3. 早稲田大学 教育学部 地理歴史専修(隠れた穴場)

「早稲田のチベット」とも呼ばれる独自のエリア。ここには歴史オタクや地図マニアなど、一点突破型の知識を持つ学生が集まりやすく、特性を持つ学生との親和性が高いです。キラキラ度は低めです。


親御さんがチェックすべき「裏」の募集要項

もし、これから志望校の最終調整をするのであれば、ぜひ以下の視点を持ってください。

  • 「グループワーク」の頻度:

    良かれと思って導入される「学生主体のグループワーク」。これはコミュ力に課題のある学生には「公開処刑」になりかねません。シラバスを見て、座学やレポート評価中心の授業が多いか確認しましょう。

  • 数学・論理学の比重:

    文系であっても、数学や統計など「正解」がある科目が必修であることは、曖昧さを嫌う彼らにとって精神安定剤になります。

  • キャンパスの人口密度と逃げ場:

    食堂以外に静かに過ごせる図書館や空き教室があるか。物理的な「逃げ場」の有無は、4年間を完走するための生命線です。


最後に

高IQで特性のある彼らは、環境さえ合えば驚くべき才能を発揮します。

「偏差値が高いから」という理由だけで、感覚的に合わない「キラキラした戦場」に丸腰で送り出すことは避けたいものです。

彼らが「擬態(マスキング)」にエネルギーを浪費せず、その知性を存分に発揮できる場所。

それが、彼らにとっての本当の「トップ校」なのだと思います。


コチラも参考に⬇

【深掘り】なぜ「女子学生比率」と「ファッション」が、2E男子のメンタルを削るのか?


※本記事は、特定の調査報告書に基づいた分析であり、すべての学生に当てはまるわけではありません。大学について、私たちが支援している学生の志望校を中心に選定していますので、全ての大学・学部を調査していませんが、学校選びの「もう一つの視点」として参考にしていただければ幸いです。

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