【香港視察レポート】グローバルに生きるとは「インフラを守る」こと。HSBC口座凍結解除の実践録と教育的視点

はじめに:香港プログラム開発の現場へ

GIERI(ギフティッド国際教育研究センター)代表の石川です。

現在、GIERIでは世界における新たな教育プログラムの開発を進めています。今回はその視察と現地パートナーとの調整のため、久しぶりに香港へ渡航しました。

私自身、かつて香港企業に勤務していた経験があり、土地勘はあるつもりでしたが、パンデミックや社会情勢の変化を経て、現地の空気感も大きく変わっていました。

海外でビジネスや教育活動を行う上で、避けて通れないのが「金融インフラの維持」です。 今回は、プログラム開発の舞台裏と共に、多くのグローバル人材や海外投資家が直面する「HSBC銀行の口座凍結解除」「税務居住地(CRS)申告」の手続きについて、実体験に基づいた最新の解決策を共有します。

最初に結論を言います。 HSBCの凍結解除は、業者に頼まなくても自分でできます。

通常、業者に依頼すると数万円かかる手続きですが、正しいリテラシーと準備があれば、自力で解決が可能です。これは、将来世界へ羽ばたくギフティッドたちが身につけるべき「サバイバルスキル」の一つとも言えるかもしれません。


直面した課題:住所証明がない!

今回、私の手元にはHSBCからの一通の手紙が届いていました。「税務上の居住地(CRS)を確認したい」という内容です。昨年もきていたのですが放置していたままになっていました。さらに、長期間口座を動かしていなかったため、口座自体が「凍結(ド-マント)」状態になっていました。

手続きには現地の窓口へ行く必要がありますが、ここで大きな壁にぶつかりました。

  1. 引越しをしており、銀行の登録住所と現住所が違う。

  2. 新しいパスポートには住所記載欄が自記式(住所証明にならない)。

  3. 「英語」で現住所を証明できる公的書類が手元にない。

海外の銀行手続きでは、「英文の住所証明書(Proof of Address)」が命綱です。日本のマインバーや免許証はすべて日本語表記です。通常は日本の銀行で英文残高証明書を取りますが、発行には1〜2週間かかり、今回の急な渡航には間に合いません。

「証明書なしで行って、門前払いされたらどうしよう…」

解決策:2,350円で取れる「国際運転免許証」

そこで私が用意したのが、「国際運転免許証(International Driving Permit)」です。

  • 取得場所: 住民票がある管轄の運転免許センター(私の場合は埼玉・大宮)

  • 所要時間: 即日発行(朝イチに行けば約30分)

  • 費用: 2,350円

これは日本の公安委員会が発行する公的な「顔写真・英語住所付きID」です。これを住所証明として持参することで、自信を持って渡航することができました。


香港での実践:業者に頼らず自力で解決する

2026年1月6日、私は香港の「佐敦(ジョーダン)」にあるHSBC支店(Nathan Road 238 Branch)に向かいました。(以前は、尖沙咀(チムサーチョイ)支店を利用。一般には本店や大規模店が推奨されますが、近場の店舗で十分対応可能でした。)

巷には、こうした面倒な手続きを代行する業者も存在します。しかし、依頼すると2,000〜3,500香港ドル(現在のレートで約4万4千円〜7万円)ほどの費用がかかります。

 「どうせ現地に行くなら、自分自身の経験値を上げたい」と考え、自力での手続きに挑みました。10年以上前にも手続きをしたことがあるのですが、香港が中国に返還され、昨今の日中関係を考えると、スムーズな手続きができるのか、非常に不安でもありました。

現場のリアル(2026年最新版)

結果から申し上げますと、手続きは無事に完了し、費用も一切かかりませんでした。

1. 英語は「流暢」である必要はない 「英語が話せないから」と業者に頼る方も多いですが、必要なのは流暢な会話ではなく「準備」です。 「Reactivate(凍結解除)」「Update Address(住所変更)」といった単語と、パスポートなどの書類を提示すれば、窓口の行員はプロとして対応してくれます。

2. 混雑のピークは「開店直後」 張り切って開店前(8:50)に行ったのですが、これが失敗でした。現金の入金などを行うローカルの人々で行列ができていたのです。 しかし、10:00を過ぎると店内は驚くほど空きました。 英語に自信がない方こそ、行員がゆったり対応してくれる10時以降が狙い目です。

3. サインよりも「SMS認証」 かつて(10年前)は、登録サインの筆跡確認が非常に厳格でした。しかし現在はデジタル化が進み、サインよりも「登録携帯番号へのSMS認証」が重視されていました。 日本の携帯番号を登録している場合は、現地でSMSが受信できるよう設定しておくことが必須です。


まとめ:経験こそが生きた教材になる

無事に口座の手続きも完了し、浮いた数万円のコストは、香港の市場調査や現地の食文化体験(美味しい飲茶!)に充てることができました。

今回の銀行手続きのように、海外での活動には予期せぬルール変更やトラブルがつきものです。しかし、それを「誰かに丸投げ」するのではなく、自分で調べ、準備し、解決するプロセスこそが、グローバル社会で生き抜く力(コンピテンシー)になります。

GIERIが提供を目指すプログラムでも、単なる語学研修に留まらず、こうした「現地で自分の足で立つ強さ」を、子供たちに伝えていきたいと改めて感じた視察となりました。

【参考:HSBC手続きの要点まとめ】

  • 業者代行相場: 2,000〜3,500HKD(自力なら0円)

  • 必須アイテム: パスポート、国際運転免許証(住所証明用)、マイナンバー(納税番号用)

  • 英語力: 中学レベルの単語と事前のスクリプト準備で十分対応可能

  • 推奨支店: 本店でなくても、ジョーダン等の主要支店で英語対応可能

※本記事は2026年1月時点の個人の体験に基づくものです。銀行の規定は変更される可能性があるため、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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