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子どもは親より頭がいい? 知能指数で見る高知能化

高度な知能が要求される時代になっています。   読み書き計算だけでなく、最近の子どもはICTを使いこなし、プログラミングまでできるように教育されています。子どもたちの当たり前に親世代がついていけないと感じるのは私だけでしょうか。彼らは私たち世代以上に、高い知的能力が求められ、スマホのツールを十二分に使えない親を「バカ」だと考えたりもします。 ただし、私たち親の世代の「当たり前」もその上の世代とは異なっていました。PCが使えない、スマホが使えない高齢者はたくさんいます。何度も教えても習得できないことに苛つく経験をしたこともあるのではないでしょうか。これは、必ずしも年齢による能力の低下に由来するとは言えないでしょう。30代40代に、PCの習得に努力し、80代でアプリ開発する方もいます。つまり、PC等の利用に適した才能を持っていた方が年齢に関わらずいるということです。 そのような高齢者は、その世代の中では特殊な方と思われます。多くの高齢者がそのようなデジタル対応能力が欠けているのではなく、時代に要請される能力が異なっていたために、能力を開花できなかったに過ぎません。というのも、PC・スマホに熟達していない高齢者の方々の殆どが、仕事をする際に求められるマニュアルや手順書が読め、役所等から送られる文書を読んで理解し、対応することができるからです。 このような文書を読んで対応する能力も、今の高齢者よりもさらに上の世代、100年前の人たちがどれだけ持ち合わせていたかと考えると、かなり少なかったのではないかと想像できます。 つまり、私たちは時代に応じた能力を教育と環境により身につけると同時に、新しい世代を経る毎に、より難しいことに対応できる新たな知的能力が向上していると言えます。 ■フリン効果 ニュージーランドのオタゴ大学のジェームズ・フリン教授は1984年に論文で次のようなことを発表しました。「IQは1年あたり0.3ポイント、10年ごとに3ポイント上昇している」と。その後様々な研究が行われ、過去100年間にわたりIQがノブ続けていることがわかっています。知能検査の細かな統計処理が行うことでスコアが伸びていることが示されているそうです。 フリン教授の説が正しいのであれば、今の知能テストを受けてIQ100の人が、30年前の知能テストを受けたら110くらいになるということです。...

知能検査ではわからない、大切な能力

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「学校の授業について行けない」 「落ち着きがない」 「集中力が続かない」 「指示が聞き取れない」 学校での何らかの困りごとがあると、発達相談を経て教育センターや医療機関等で知能検査を勧められることでしょう。そして、検査結果の数字を聞かされ、知能の大体の程度、数値のばらつき等の説明を受けます。保護者の立場からすると、どう受け止めていいのか戸惑うことも多いでしょう。とりわけ、知能指数(IQ)が低い(70未満だ)と知的「障害」とされるため、ショックをうけるかもしれません。 しかし、人間の大切な能力はIQだけではありません。高IQで人生をうまく過ごせない人も沢山いますし、IQが高くなくても、要領よく人生を過ごし幸せな人生を送っている人が沢山います。検査を受けて数値が示されることで「障害」と向き合わざるをえない人もいれば、知らないまま過ごして行く人もいます。 そもそも目立った困りごとがなければ、知能検査を受ける機会はありません。そのため、日本には統計的にはIQ70未満の知的障害者が2%いる可能性があるのですが、厚生労働省が把握している知的障害者は1%未満にすぎません。調査で把握される知的障害者が少ないということは、診断がなくてもうまく生きていけている可能性が考えられます。(もちろん、その反対に支援が届いていない可能性も考えられます。) ■そもそも知能とは何なのか? 最も一般的に実施されているWISC検査の考案者ウェクスラー博士によれば、検査で測る「知能」について「目的に沿って行動し、合理的に思考し、能力的に環境を効果的に処理する個人の総合的・全体的能力」と定義されています。 つまり、「環境に適応していく能力」で、記憶・知覚・理解・思考・判断などの「物事を処理する能力」と言われ、これらには学習能力、知識を得る能力、思考力、想像力などさまざまな能力が含まれます。しかし、これらで「知能」自体を表しているとは言えず、知能そのものについてはまだはっきりわかっていません。 特に、計画する力や実行する力、やる気、思考の柔軟さや対人コミュニケーション能力については、今のところ知能検査ではうまく測れないのが現状です。しかしながら、これらの能力は人間にとって非常に大切な知能の一部分であるのは言うまでもないでしょう。 WISCで測る知能検査の脳の機能がどの部分に当たるのかを、「神経心理ピラミッド」...