【GIERIプログラム】香港「ドラゴンズバック(Dragon's Back / 龍脊)」のハイキング情報

 プログラム概要:天空の龍を歩く「地質と風の教室」

世界的に有名な「ベスト・アーバン・ハイク」でありながら、子供でも歩きやすく、かつ「火山の歴史」や「空の科学(風)」を体感できる絶好のフィールドです。

1. 基本データ

  • 対象年齢: 推奨5歳〜(※3時間程度歩ける体力が必要)

  • 難易度: 初級〜中級(GIERI基準:レベル2

    • 序盤に急な階段があるが、尾根に出れば比較的平坦。

  • 所要時間: 約3〜4時間(子供のペース+休憩・観察時間含む)

  • ルート: 土地湾(To Tei Wan)バス停 → シェックオー・ピーク(石澳山頂) → ドラゴンズバック(尾根) → ビッグウェーブベイ(大浪湾)

    • ポイント: 終点がビーチ(大浪湾)なので、ハイキング後の「ご褒美(海遊び)」を設定しやすく、子供のモチベーション維持が容易です。


2. 教育的視点(探究学習のネタ)

GIERIのプログラムとして導入可能な「問い」と解説のポイントです。

A. 地質学:なぜ「龍の背中」ができたのか?

  • 観察対象: 足元のゴツゴツした岩肌

  • 解説: この山は1億4000万年前(ジュラ紀〜白亜紀)の巨大な火山活動によってできました。

  • キーワード: 「火山凝灰岩(かざんぎょうかいがん / Volcanic Tuff)」

    • マグマや火山灰が固まってできた岩です。香港の土地の約50%はこうした火山岩でできています。

    • アクティビティ: 「岩を虫眼鏡で見てみよう。キラキラ光る結晶が見えるかな?(石英や長石)」

B. 生物学:風に乗る生き物たち

  • 観察対象: 空を旋回する鳥、木々の間の大きなクモ

  • ブラックカイト(トビ): 上昇気流に乗って羽ばたかずに飛ぶ様子を観察。「なぜ羽ばたかないのに飛べるの?」という問いかけから、風と揚力の話を展開できます。

  • ジョロウグモ(Golden Orb-Weaver): 夏〜秋にかけて、成人男性の手のひらサイズの巨大なクモが見られます。巣の強さや構造を観察します(※毒は弱いですが触らせないように)。

  • 植生: 香港政府が植林した「植林三宝(Three treasures of forestry)」を探すビンゴゲームが可能です。

    • 台湾アカシア(Taiwan Acacia)

    • ブリスベン・ボックス(Brisbane Box)

    • スラッシュマツ(Slash Pine)

C. 地理・歴史:海を見下ろす視点

  • 景観: 尾根からは360度のパノラマで、高級住宅地の「紅山半島(Red Hill)」や、ゴルフ場、そして南シナ海が一望できます。「人が住んでいる場所」と「自然のままの場所」の境界線を高い所から観察させ、都市開発について考えさせるきっかけになります。

    • ※注意:本格的な戦争遺跡(トーチカ等)はこのルート上にはほぼありません(近隣のポッティンジャー山やケープコリンソンにはありますが、子供連れのメインルートからは外れます)。過度な期待を持たせないよう注意が必要です。


3. 安全管理・引率ガイド(リスクマネジメント)

子連れ・団体行動における特有のリスクと対策です。

リスク対策・注意点
熱中症最大のリスクです。尾根沿いは日陰がほぼありません。帽子必須。水は1人あたり最低1.5L持参(道中に売店・自販機なし)。真夏(6-9月)の日中は避け、午前早い時間か、11月〜3月の乾季を推奨。
滑落・転倒「龍の背中」の名の通り、左右が切り立った崖のようになっている箇所があります。道は広いですが、ふざけて走らせないよう徹底が必要です。
トイレルート上にトイレはありません。 スタート地点(土地湾)の簡易トイレと、ゴール地点(大浪湾)の公衆トイレのみです。スタート前に必ず済ませる必要があります。
ハチ・害虫茂みに入らないよう指導してください。足元はサンダル不可、スニーカー必須です。

4. GIERIプログラム・リーダー向けチェックリスト

  • [  ] 集合場所: MTR筲箕湾(Shau Kei Wan)駅 A2、A3出口(バスターミナル)

  • [  ] 移動: 9番バス(石澳行き)に乗車、「土地湾(To Tei Wan)」で下車(約20分)。

    • 2階建てバスの2階最前列は子供に大人気ですが、山道で揺れるので酔いやすい子は1階へ。

  • [  ] 装備: 絆創膏、虫刺され薬、日焼け止め、おやつ(塩分チャージ)、ご褒美用の冷たい飲み物(保冷バッグで持参推奨)。

  • [  ] エスケープルート: 体調不良者が出た場合、山頂手前からショートカットしてバス通り(石澳道)へ戻るルートがありますが、基本は「進むか戻るか」の一本道に近い構造です。

結論

ドラゴンズバックは、GIERIが目指す「体験を通じた学び」に最適なフィールドです。単なるハイキングで終わらせず、「1億年前はここが火山だった」というスケールの大きな地質の話と、「風を利用して飛ぶ鳥」の物理の話を組み合わせることで、子供たちの知的好奇心を強く刺激できるでしょう。

参照動画

... Dragon's Back Hike, Hong Kong – The Complete Guide ...



この動画は、実際のトレイルの様子、特にスタート地点の階段や尾根からの絶景、子供が歩く際のリスク(足元の岩場など)を視覚的に確認できるため、プログラムの下見として非常に役立ちます。



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