10年の空白を越えて。ひきこもりから「遅咲きの社会人1年目」へ
「うちの子は、もう何年も家から出ていない。このまま社会に出られないのではないか……」 不登校やひきこもりの状態が長引くにつれ、親御さんの焦りや不安は計り知れないものになっていくかと思います。見えないトンネルの中にいるような日々に、どうかご自身を責めないでください。
今日は、そんな暗闇の中に一筋の光となるような、GIERIからの嬉しいご報告をお届けします。
6月1日、GIERIでサポートを続けてきたメンバーの一人(ここではTさんとお呼びします)が、ジブラルタ生命保険株式会社へ入社を果たしました。今年度、先月に続き、GIERIから社会へ羽ばたいた2人目のメンバーです。
Tさんは、10年以上にわたる「ひきこもり」の期間を経験してきました。 社会との接点が途絶えていた彼が、どのようにして就労という大きな一歩を踏み出したのでしょうか。そこには、約1年半にわたる「自己理解」と「スモールステップ」の積み重ねがありました。
■ 1年半の歩み:スキル以上に大切だった「自己理解」
Tさんの歩みは、決して魔法のように突然変わったわけではありません。 まずはGIERIのIT教室へ通うことから始まり、ハローワークでの職業訓練へとステップアップしていきました。
ここで私たちがプロの視点として非常に重要視したのが、「医療や検査機関への接続」です。 ただ闇雲にスキルを身につけさせるのではなく、客観的なアセスメントを通して自身の得意・不得意(認知特性)を知り、どうすれば働きやすくなるのかという「自己理解」を徹底的に深めてもらいました。自分の取扱説明書を持つことが、社会に出るための最大の武器になるからです。
この土台作りが功を奏し、サポート後半のTさんは見違えるように変化しました。 なんと、応募書類の作成から面接対策、インターンのやり取りに至るまで、自律的に1人で進められるようになっていったのです。
■ 2時間の通勤の壁と、「変わらない」という選択の尊重
いくつかの企業候補がある中から、彼が選んだのはジブラルタ生命でした。 決め手となったのは、以前こちらのブログでもご紹介した同社の「3年間の育成期間」という仕組みです。じっくりと時間をかけてスキルアップを目指せる環境が、Tさんの希望と見事にマッチしました。
しかし、一つ大きな懸念がありました。片道2時間近くかかる通勤時間です。 通常であれば「職場の近くに引っ越しては?」と提案したくなるところですが、私たちは「今は引っ越しをしたくない」というご本人の意志を尊重しました。長年安心できる居場所であった自宅環境まで一気に変えてしまうことは、心身への負担が大きすぎると判断したからです。 その代わり、入社前に朝の通勤ラッシュに合わせて一緒に「出社の練習」を重ね、不安を一つずつ潰していきました。
■ 疎外感を溶かした、会社を挙げての「歓迎のセレモニー」
そして迎えた6月1日。少し遅くなった、彼の「社会人1年目」のスタートライン。私は毎回入社式に参加させていただいていますが、 そこでジブラルタ生命の皆様が見せてくださる対応に、私たちはきっと深く心を打たれるでしょう。
なんと、Tさんたった一人のために、ジェネラル・サービスチームのメンバー一同が顔を揃え、入社式を開催してくださったのです。 東京本社だけでなく長崎本社の方々もオンラインで繋ぎ、マネージャーも含め職員の皆様が一人ひとり自己紹介と説明をしてくださいました。そして行われた、社員の記章(バッジ)の授与。
「多様性の受容」や「障がい者に対して最もやさしい会社になろう!」という理念を掲げる同社ですが、それが単なるスローガンではなく、血の通った本気の受け入れ体制であることを実感した瞬間でした。
10年以上、社会に対して強い「疎外感」を感じていた青年の心に、この温かい歓迎のセレモニーはどれほど力強く響いたことでしょう。 「あなたはここにいていいんだよ」「私たちの仲間だよ」という強烈なメッセージ(所属の承認)は、彼がこれから困難にぶつかった時、必ず心の支えになるはずです。
■ 親御さんへお伝えしたいこと
10年の空白があっても、人は変わることができます。 必要なのは、本人の特性を正確に把握する「自己理解」のプロセスと、本人のペースを尊重する「スモールステップ」、そしてジブラルタ生命さんのように、その子の強みを見出してくれる「受容的な環境」との出会いです。
Tさんのこれからの活躍を、GIERIスタッフ一同、心から応援しています。 そして今、お子さんのことで悩まれている親御さん。どうか焦らず、まずは専門家にご相談ください。遠回りに見える時間が、実は一番の近道になることもあります。
個別のご相談については、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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