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1月, 2025の投稿を表示しています

カナダの大学進学について

カナダの高校から大学への進学について考えてみます。 日本との最大の違い 入学試験がありません カナダの公立高校では、一般的に大学入学試験が存在しません。生徒は地域の公立学校に通い、通常は学区内の学校に登録されます。私立学校も存在しますが、入学は試験ではなく、登録や順番待ちによって行われることが多いです。 ただし一部の人気のある大学や学部では、成績や課外活動、推薦状などが重視され、競争が激しくなることがあります。 高校の卒業証明書と入学条件 カナダの高校を卒業する際には、「Dogwood」と呼ばれる卒業証明書が発行されます。この証明書は、通常のカリキュラムを修了したことを示します。また、障害がある生徒には「Evergreen」と呼ばれる修了証が発行されることもあり、これは個別に調整されたカリキュラムを修了したことを示します。 大学への入学条件は、高校の卒業証明書と一定の英語力です。希望する大学や学部によって異なりますが、一般的には必要な科目や成績基準を満たすことが求められます。(特定のGPAや科目の履修が必要です)。英語力の証明には、TOEFLやIELTSなどの試験が利用されます。 障害のある方へのサポートは 障害のある学生には、試験の追加時間や特別な教材の使用など、合理的配慮が提供されます。これにより、すべての学生が平等に学ぶ機会を得られるように配慮されています。カウンセリングサービスも提供され、学業を続けやすい環境が整えられています。

カナダの個別教育計画(IEP)の特徴は?

カナダのIEPの特徴 カナダの教育は、特別支援級を設置するのではなく、普通級で全ての子どもたちが学ぶことを大切にしています。そこで重要な役割をもつのが「個別教育計画」です。主な特徴は以下の通りです。 包括的なアプローチ カナダでは、IEPが生徒一人ひとりの特性やニーズに基づいて作成され、 教育者、保護者、専門家が協力して策定します 。このプロセスは非常に協働的であり、保護者の意見が重視されます。 柔軟性と適応性 : IEPは生徒の進捗に応じて定期的に見直され、必要に応じて修正されます。これにより、教育内容や支援方法が常に生徒のニーズに適応することが可能です。 合理的配慮の明示 : IEPには、試験時間の延長や特別な教材の使用など、具体的な合理的配慮が明記されます。これにより、生徒が学びやすい環境が整えられます。 最近では、IEPの作成が日本でも行われていますが、他国との違いを考えてみます。 諸外国とのIEPの比較 日本との比較 日本では、特別支援教育は主に特別支援学校や特別支援学級で行われることが多く、IEPの導入は進んでいるものの、カナダのように一般の学級(普通級)でのインクルーシブ教育が徹底されているわけではありません。 カナダでは、障害のある子どもが通常の学級で学ぶことが一般的 であり、IEPが通常学級での個別支援を明確にするための重要なツールとして利用されています。 アメリカとの違い アメリカのIEPも個別化された教育計画ですが、 カナダのIEPはより多様な専門家の意見を取り入れる傾向 があります。IEP作成が徹底されているのは、特別支援教育に関する法律(IDEA)に基づき、IEPの作成が法的に義務付けられているからです。カナダでは州ごとに異なる法律やガイドラインが存在するため、その地域に応じた 柔軟性 があると言われています。 イギリスとの違い イギリスでは「特別な教育的ニーズ(SEN)」という概念が用いられ、IEPは生徒のニーズに基づいて作成されます。カナダのIEPはより具体的な支援内容や目標が明示される傾向があります。その理由は、 カナダではインクルーシブ教育が強く推進 されているのに対し、イギリスでは特別支援学校と通常学校の間に明確な区分が存在していることと関係しています。イギリスでも計画作成の際に保護者の意見は考慮されますが、カナダほど重要視され...

「発達障害」?その前に世界に飛びだそう!① 子どもが世界を体験する意義

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私たちは発達の問題を単なる障害や欠陥ではなく、個々の人々の固有の特性や能力の一部であると考えています。北米では「発達障害」は、ニューロダイバシティーの文脈で捉えられ始めています。閉塞感の漂う日本社会から離れ、世界の子どもたち若者と学ぶ機会が成長の糧になるのではないかと考えています。 発達の課題がある子どもこそ世界へ! 世界と繋がることで次のようなメリットがあります 自己認識の深化 異文化の子ども・若者たちと活動することで、子どもは自分の特性や強み、弱みを再認識する機会を得ることができます。これにより、自己理解が深まり、自信を持つことができるようになります。 コミュニケーションスキルの向上 異なる背景を持つ人々との交流を促進し、コミュニケーション能力を高める助けとなります。言語の壁を越える経験は、子どもにとって貴重な成長の機会です。 ニューロダイバシティーを実感 発達障害に対する社会的な理解が進んでいる子どもたちとふれあい、ニューロダイバシティーを体感することで、自分を肯定的に捉えることができるようになり、子どもが自分らしく過ごしやすい環境がどんなものなのかを掴み、どう伝えていくべきかを考える機会になります。 また、親御さんも世界の教育に触れることで、日本の教育を俯瞰して見ることができるようになるでしょう。 多様な教育環境を知る機会に 海外の発達障害に対する理解がどのようなものなのか?特別支援教育やインクルーシヴ教育がどのように行われているのか興味を持つ機会になるかもしれません。「ニューロダイバシティー」を身近に感じ、考えていく端緒になるでしょう。 例えば、カナダの学校では、発達障害のある子どもに対して個別の教育計画(IEP)が用意され、学び方の違いを尊重する教育が行われています。子どもが自分らしく過ごしやすい環境、より良い学習環境を考えて行く機会になるでしょう。 ⇒カナダの特別支援教育とは? このような海外の人との関わりは、海外留学やインターナショナルの利用によって実現されることが多いのですが、懸念点もあります。 例えば、言語の壁や文化の違いからくるストレス、教育システムの違いによる学習負担の増加などが挙げられます。特に、発達障害とされるような子どもや若者にとっては、環境の変化が大きなストレス要因となることがあります。 学校や生活の場を一転させるのには非常にリスクが...

カナダの特別支援教育とは?

カナダの特別支援教育は、発達障害を持つ子どもたちに対して非常に包括的で柔軟なアプローチを取っています。 日本の教育との大きな違いは 「自分のペースで学び、成長できる環境を整えること」 に重点を置いていることでしょう。 インクルーシブ教育の実施 普通級でみんなが学ぶ カナダでは、特別なニーズを持つ子どもたちが普通学級に在籍することが一般的です。特別支援学級ではなく、通常のクラスで教育を受けることが推奨されており、必要に応じて個別のサポートが提供されます。日本の感覚だと「インクルーシブ教育」にあたりますが、そもそも学級を多様な特性のある子どもたちを前提にした集団と考えているため、全てをまとめて「含む」という考えを取り払おうとした考え、「インクルーシブ」という言葉の使用そのものをやめようという動きがあります。 個別教育計画(IEP) 各生徒の特性に応じた 個別教育計画(IEP) が作成され、学習目標や必要な支援が明確にされます。IEPは、教師が生徒のニーズに合わせた教育を行うための重要なツールです。 カナダの特別教育計画(IEP)の特徴については、以下の記事を参考にしてください。 https://gieri-jp.blogspot.com/2025/01/iep.html 具体的なサポート体制 インクルージョンワーカーの配置 特別なニーズを持つ生徒には、インクルージョンワーカーと呼ばれる支援者が配置されることがあります。彼らは、通常の授業において生徒が適切に学べるようサポートを行います。 多様な学習アプローチ カナダの学校では、発達障害のある子どもたちに対して多様な学習方法が用意されています。例えば、感覚的な休憩を取るための「センサリールーム」や「センサリーパスウェイ」。音に敏感な子ども向けの防音ヘッドホンなど、個々のニーズに応じた環境が整えられています。日本でも整備されているものもありますが、多様な感覚刺激を利用したり、学習内容を個々に柔軟に変えていくのはカナダならではと思えます。インターナショナルスクールでも、カナダの先生は、自身の裁量でさまざまなアプローチをして工夫をしてくれるという話をよく耳にします。 医療と教育の連携 特別支援教育においては、医療機関との連携も重要視されています。発達障害の「診断」を受けた子どもには、教育だけでなく医療的な支援も提供されることが一...

「発達障害」?その前に世界に飛びだそう!② 2024実施プログラム「World Bound Youth: Japan」

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ギフティッド国際教育研究センター(GIERI)は、カナダのクリエイティブツールボックス社と「World Bound Youth: Japan」プログラムを2024年の7月に実施致しました。 夏休みを利用した21日間のプログラムです。 テーマは 「The climate change leadership expedition that combines ancient culture, peace-making, and space-age technology」 東京ー富士登山ー京都・大阪・奈良ー広島-山梨(キャンプ)-東京(浅草)を体験しました。今回のプログラムはトライアルで、日本人の参加は全期間ではなく部分的に限られてものでしたが、海外留学希望の女子高生や就職活動中の若者などに参加していただき、異文化体験をする機会になりました。 ■参加者の声(振り返りのお話を一部掲載) 「英語を勉強したくなったとか考え方とか前向きな気持ちになった」 「カナダに去年留学してたんですけども、改めてカナダ人を通じて学ぶこともあったし、そこで自分の良い部分、悪い部分が分かってよかったです。」 「行く前と行った後で、僕に本当に気持ちががらりとかわり、行動も変わりました。前はなんだか精一杯で追い込まれたような感じで、今回のプロジェクトで色んな人に関わって、以前は どんだけ浅はかだったのか気づきました。」 「カナダの人を通してこう俯瞰してみることができるっていうか。だから、例えば 日本人だけのキャンプとは違うかというような感じと、同じ仲間でいくキャンプとは全然違う。」 「日本だと、自閉(症)だともう、 なんか決められた枠でやってくださいみたいなことだと思うんですけど、多分カナダとか世界では、彼らは多分それを取っ払って、普通にチーム 1 人 1 人として多分やってるっていう感じです」 「今までの日本の常識は、なんていうか、日本だと、例えば、自閉の人が怒られてたりして カナダから来ても、自閉でもピンピンしてるし、だから、日本と日本の常識がどれだけ日本だけの常識なのかと思いました 」 チームラボ見学 富士登山 侍ミュージアム 他にも様々なアクティビティをしています。 カナダのファイヤーサイドアドベンチャーズのサイトもご覧ください。 https://www.firesideadventures.c...

Fireside Adventures Japan 設立に当たり  2024年1月14日

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小中学生の8.8%「発達障害の可能性あり」。ちょうど1年前の新聞の記事の見出しである。 しかも、「通常」学級に、その障害者がいるという。21世紀に入り、発達障害者支援法のもと手厚い支援が行われてきたのにもかかわらず、「通常学級」に障害者がいると、先生たちが考えているというのだ。 支援学校はもとより、通級、特別支援教室、支援級、取り出しで行われ続けた教育の結果は、子どもたちの分離をもたらした。支援の名の下に「障害」を作り出していないだろうか。この14年間に、「発達障害」が14倍に増えたそうだ。疫学的な数をはるかに上回る「発達障害」が日本になぜいるのだろう。 同様に、不登校の数もとどまることをしらない。私たちの教育がこれらの問題(障害)を作り出してはいないか。 教師も生徒も、全員が同じ正しさや模範解答をもとめる、異論の余地のない学校からは、知的な生産性は何も生まれない。そんな「閉鎖的な空間」に閉じ込められることに耐えられない子どもたちが、「障害」や「不登校」にされているのではないかと、数多くのギフテッド・チャイルドの支援や相談に関わった私は思う。  知的な生産性とは、「正しい・間違っている」という二項対立ではない。革新的なものとは、思いがけないものだ。誰もが予測しないところから生まれるのである。だったら、多様な個性を認め可能性を信じなければブレークスルーは生まれない。 学歴偏重の解答ある世界から飛び出し、野外に飛びだそう。身体知をともなう実体験から、我々人間が真に知るべきもの、わからないことは何かを知り、来るべき人類の難題を解決する若者になって欲しいと考え、Fireside Adventuresのプログラムを実施することにした。 日本にオルタナティブな教育が根付かないのであれば、海外からその生徒・学生をまるごと日本に呼んで、ともに学び本当にグローバルな人間に成熟することを熱望したい。 ともにAdventureする日本の若者を求む!

子育て「アファメーション」のすすめ

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 「アファメーション」という言葉をご存じでしょうか。 アファメーションとは、肯定的な言葉を用いて自己暗示を行うことです。これにより、理想の自分を引き寄せることができるとされています。特に自己啓発や心理学の分野で注目されており、ポジティブな言葉を繰り返すことで、潜在意識に働きかける手法です。 具体的に以下の効果が知られています。 ポジティブ思考の促進: 実践することで、ネガティブな思考を排除し、ポジティブな思考が身につきます。これにより、困難な状況でも気持ちを切り替えやすくなります。 自己肯定感の向上: 自分を肯定する言葉を繰り返すことで、自己肯定感が高まり、他者の意見に左右されにくくなります。これにより、自分の能力を最大限に引き出すことが可能です。 ストレスの軽減:  アファメーションは、ストレスや不安を軽減する効果があるとされています。ポジティブな自己暗示が、ストレスホルモンであるコルチゾールの生成を抑えることが示されています。 健康への影響:  アファメーションは、心身の健康にも寄与することが研究で示されています。ポジティブな思考が、身体的な健康や学習能力、人間関係の改善に繋がることが確認されています。 子育てにも「アファメーション」を利用してみませんか。 多くのお母さまが仕事や家事に忙しいいことでしょう。ストレスを日々抱えているお母さま方がポジティヴに過ごせることが育児にとっても大切です。 「アファメーション」により、ポジティブな思考が習慣化されると、「子育て」にも良い影響を与えます。自信を持って行動することで、目標達成に向けた具体的な行動を促進することでしょう。「~しなければらない」という思いから解放され、やさしく、ゆっくり、丁寧に子どもと関われるようになるでしょう。 アファメーションの効果的な実践をするために 現在形での表現 :  アファメーションは、未来の願望ではなく、現在の状態として表現します。 例えば、「私は幸せです」といった形で宣言します。 声に出して言う : 声に出して言うことで、より効果が高まります。毎日決まった時間に行うと習慣化しやすいです。 繰り返しの重要性 : 日常的に繰り返すことで効果が高まります。特に朝の時間に行うと、ポジティブな気持ちで一日を始めることができます。 視覚的なサポート : アファメ...

「子育てジャーナル」のすすめ

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「ジャーナリング」という手法をご存じでしょうか。「ジャーナリング」または「書く瞑想」と呼ばれる方法は、心の整理やストレス軽減に効果的なマインドフルネスの一種です。ジャーナリングの効果には次のようなものが知られています。 ストレスの軽減 : 頭の中のモヤモヤや不安を紙に書き出すことで、感情を客観視し、ストレスを軽減する効果があります。研究によると、ジャーナリングを行ったグループは、行わなかったグループに比べて就職率が40%高かったという結果もあるそうです。 感情の整理 : 自分の感情や考えを言語化することで、何に悩んでいるのか、何が不安の原因なのかを明確にし、問題解決の手助けになります。これにより、感情の整理が進み、自己理解が深まります。 新しいアイデアや視点の発見 : ジャーナリングを通じて思考を可視化することで、これまで考えもしなかった新たなアイデアや視点が得られることがあります。特に、行き詰まりを感じているときに有効です。 集中力の向上 : 定期的にジャーナリングを行うことで、集中力が高まり、日常生活や仕事においても効果を発揮します。 記憶力の向上 : エクスプレッシブライティングと呼ばれるジャーナリングの一形態は、記憶力の向上にも寄与することが研究で示されています。これは、情報を一時的に保持し操作する能力であるワーキングメモリを改善するからだと言われてます。 このように「ジャーナリング」は、ストレス軽減や感情の整理、新しいアイデアの発見、集中力の向上、記憶力の改善など、さまざまな心理的効果をもたらします。これらの効果は、科学的な研究によっても支持されています。 是非、この手法を「子育て」に使ってみたらどうでしょうか。 子育てにはイライラが募ります。親の強い想いが、「こうなるべき」だという思い込みから生じていることも少なくありません。朝寝坊をする、勉強をしない、話を聞かない・・・その問題が子どもの成長段階にあっているのか、子どもの特性にあっているのか、親御さんの「するべき」を振り返って見る必要があります。 親御さんが対応を変化させたり、子どもに新しいやり方・習慣を導入したりしても、変化が見られるまでには時間がかかるものです。一説には「2ヵ月」とも言われています。 その間に、親御さんのイライラや悩み、本当にこれで良かったのか? という...