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2月, 2025の投稿を表示しています

日本とカナダの教育の違い③ プロが教えるから、即戦力のプロが育つ

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カナダでは 多様な科目を受け、教育を受けることができます。その為には、各分野を教えられる教師も必要です。 カナダの先生たちは、ほとんどが、木工、大工、メカニック、車の修理などの専門分野の職務経験者で、それにプラスして教員免許も持ってるという方ばかりです。 例えば、大工さんを長年やってきて、これからは教員やりたいと思ったタイミングで、人生の後半で教員に転向する、というようなことは珍しくありません。 現場で長年やってきた プロが教えるからこそ、社会に出たときに即戦力となれるプロが育っていきます。 日本の学校の先生は、教師以外の仕事の経験がある方は少ないように思います。カナダの学校は、社会に送り出す準備をする機関だから、教える先生達もその仕事経験があって当然、という認識です。 カナダの学校には、現場で鍛え上げられたマッチョな先生だったり、タトゥーの入った一見ワイルドな先生も見かけますが、そういう先生ほど生徒から大人気だったりします。 副業もOKなので、先生だけをやってる人のほうが少ないです。平日の授業は16時ごろに終わって帰れるので、自分の時間で別の仕事も掛け持ちすることができるのです。 例えば、普段は学校で物理を教えているけど、学校以外ではカメラ屋さんでカメラを売っているとか、ビジネスを教えている先生は栄養サプリのビジネスをしていたりする方もいらっしゃいます。 土日は休みで、夏休みも1か月休めて、年収は1,000万円ほどもらえるため、教師は人気の職業で、優秀な人が先生になる、という感じです。 日本では、「終身雇用」「年功序列」のようなものの名残からか、職を変えることに対してハードルがまだまだありますが、カナダの特に若年層では、複数の業界や職種を経験することがキャリア形成に有利だと考えられています。 カナダでは、自己成長やライフワークバランスを重視する人が多いため、企業側としても従業員のキャリアアップをサポートすることに積極的です。ですから、「教師」も様々な職種、社会人を経験した結果として選ぶ方が多いのです。 また、カナダの教育自体が産業と密接に関わっていることも特徴的です。ポリテクニック(Polytechnic)という、職業教育を中心とした教育課程が組まれた様々な分野の高校大学があります。 一時期、石油を掘る技術者が足りないというとき...

日本とカナダの教育の違い② 自分にあった選択肢が見つけられる

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必修科目としては、英語、数学、理科、社会、保健体育などは日本と大きく違いはありません。ただ、日本と違う部分は、必修科目においても、生徒それぞれの得意な部分を伸ばすという姿勢は一貫していることです。 例えば、英語の教科においては、読むこと、書くこと、話すこと、などそれぞれの得意な学び方で同じように単位が取れる仕組みになっています。 書く事が好きな生徒、人前で話すのが得意な生徒、バランスよく読み書き両方が得意な生徒が、それぞれの学び方で、自分が取り組みやすい方法を選択して、同じ単位を履修することができるのです。   日本の高校の実技科目というと、体育、美術、音楽、書道、技術家庭科、情報などでしょうか。カナダの場合は、体育の中にも、フィットネス(筋トレ系)、ダンス、バスケだけの体育、バレーだけの体育などバリエーションも様々です。 そのほかにも、美術では、デッサンなど筆で描くスタジオアート、3Dアート、広告やポスターデザインなどのメディアアート、写真など。 技術系科目は、木工、鉄工、ジュエリー製作、自動車工学、放送、映像製作、製図、エンジニアリングデザイン、航空学など。 情報系科目は、ウェブ制作、アニメーション、3D製作、ゲーム製作、ロボット工学、などなど、実に多くの科目があります。 音楽は合唱、ジャズバンド、コンサートバンド、ボーカル、ボーカルジャズなど。 家庭科…被服(裁縫)、調理実習、栄養学、ファッション、家族学、など。   例えば、自動車工学の授業では、机に座って勉強するのではなく、そのための自動車修理設備が学校に備わっていて、実際に車を修理するなどの実習が中心です。 実習で安く修理してもらえるからと、車の不具合があったときは、保護者は学校に車を持ってくる、というのもあたりまえの光景です。 しかもこれが、一部の私立高校などの限られた環境ではないのがすごいところです。どの高校に行っても公立のほとんどの学校にこれだけの選択の幅があり、それぞれを実習できる施設が揃っているのです。 以下の記事もご参考にしてください。 日本とカナダの教育の違い① https://gieri-jp.blogspot.com/2025/02/blog-post_26.html 日本とカナダの教育の違い③ プロが教えるから、即戦力のプロが育つ htt...

日本とカナダの教育の違い

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カナダの教育制度は、州によっても異なりますが、一般的には幼稚園1年と1年生から12年生までのK-12制が採用されています。 日本では、学歴が社会的地位やキャリアに与える影響が根強く残っています。受験をして少しでもいい大学に入学する事や、幼少期から「お受験戦争」に打ち勝ち、私立のエスカレーター式の学校に入学することを目指して、都心部の小学生は週に何日も塾に通っていることは珍しくありません。  カナダの子どもたちは、90%の学生が住んでいる地域の公立高校に行くので、勉強が得意な子がいれば、勉強は苦手だけど、芸術や技術といった手に職系の学科が得意な子もいたりと、本当に多様な生徒が同じ小中学校にいて当たり前に一緒に学んでいます。  日本の高校では、入学後に文系、理系に分かれますが、カナダの公立の中学高校には、日本の高校・専門学校・大学が合体したくらいの多くの学科があり、社会で自立するために、自分の好きな事、才能をいかしたキャリア設計をしていきます。  教育カリキュラムとしての一番の特色は、選択制の実技科目の多さと、キャリアライフ教育という将来の職業やバランスの取れたライフスタイルの構築について学ぶ科目があることです。  教育のシステム自体が、一貫して「将来自分の才能を活かして社会で自立すること」に重きをおいているため、有名大学にいく事ももちろん素晴らしいのですが、それと同じくらい、高校でメカニックの資格をとって、友達と卒業してすぐに車の整備工場を作ったりすることも素晴らしいと考えられます。 以下の記事もご参考にしてください。 日本とカナダの教育の違い② 自分にあった選択肢が見つけられる https://gieri-jp.blogspot.com/2025/02/blog-post_27.html 日本とカナダの教育の違い③ プロが教えるから、即戦力のプロが育つ https://gieri-jp.blogspot.com/2025/02/blog-post_28.html 日本とのカナダの教育の違い④ キャリアライフ教育 https://gieri-jp.blogspot.com/2025/03/blog-post.html 日本とカナダの教育の違い⑤ 受験も、浪人もない。 とにかく褒めて育てられるカナダの子どもたち https://gi...

カナダのニューロダイバシティー教育⑤学校教育との関わり 敵対ではなく「チーム」

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  ここまでカナダで行われているニューロダイバーシティ教育についてお伝えしてきましたが 「そうはいっても実際、本当に色んな子どもが一緒に生活できるの?」 「理想はそうでも現実的なの?」 と思われる方もいらっしゃるかもしれません。 しかし、カナダの学校への視察や実際に子どものサポートで学校に入らせてもらうと、日本では難しいと思われるような、お子様も個性を活かして伸ばす教育環境でのびのび過ごしていることに感動します。   何よりも、校長先生をはじめ、教師たちがみんな笑顔で楽しそうに過ごしています。 チャイムが素敵な音楽になっていたり、時計も数字だけでなくビジュアルで見られる補助がついていたり、落ち着きのない生徒でもリラックスできるようなアロマが焚いてある教室があったり、勉強が得意な生徒には高度な個人計画書が作られたりと、至れり尽くせりでした。 このような学校で、生徒はもちろん、教師も、保護者までもが、みんながハッピーな空気感で、子どもの成長を楽しめる教育現場になっているのです。   一昔前には「モンスターペアレント」という言葉が日本で流行しましたが、モンスターペアレントとまでは行かずとも、学校や先生に対して、批判をしたり衝突をしたりする日本の親御さんの話をよく聞きます。   カナダでは「チーム」という言葉をよく使います。親と、学校の先生、 EA(エデュケーション・アシスタント) 、そこに本人も入って、全員がこの子の個性や才能を伸ばすためにどういう関わりが必要かということについて大人全員が責任を持っています。 ※ EA(エデュケーション・アシスタント) カナダの学校では、 自閉症やADHD、学習障害などの特別なニーズを持つ生徒をサポートするために、エデュケーション・アシスタント(EA)と呼ばれる先生が配置されることがあります このチームという考え方も、「共生」という考え方で進められますので、「学校の先生」に責任があると押しつけるのではなく、1つのコミュニティとして大人全員に責任があることを確認します。批判ではなく自然とディスカッションになっていくのです。 カナダのような教育システムが整っていない日本で、いきなりチームになりましょう、というのは現実的ではないかもしれませんが、親自身が、どのように学校や先生と関わっていくかは、考え方として...

カナダのニューロダイバシティー教育④ 発達検査は必要ない?

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  発達検査は必要ない? ニューロダイバーシティの時代、この子は発達障害なのか?天才なのか?ギフテッドなのか?などといったカテゴライズは、それぞれの個性や能力を伸ばして社会に出ていくためには必要ありません。 しかし、その子がどのような特性を持っていて、どのような能力を伸ばしていくために、どのようなサポートが必要なのかを知るためには、発達検査や心理検査やアセスメントは必要だと考えています。アセスメントとは、 子どもの支援やサポートを行うために、現状の課題やニーズ、家での様子や学校での様子など生活全体の情報に基づいて、どのような支援が必要かを見立てる過程のことです。   発達検査では、基本的にお子さんの全体的な知能レベルが分かります。大きく分けると、言語力、知覚統合力、記憶力、処理速度などを把握することができます。 またもう少し個別最適の学習を促す点としては、その方の勉強スタイル、例えば勉強の最適方法としては視覚優位、聴覚優位、集中力、数学、デザインなどその方の長所も把握することが出来ます。 心理検査では、お子さんの性格の特徴や、悩んでいること、不安、抑鬱のレベルなど心の状態を把握することが出来ます。 発達検査を、「障害者」のラベルや発見の道具でなく、才能を伸ばすために有効利用をすることが大切なのです。 日本では、どうしても検査がネガティヴに捉えられているように思えます。 以下の記事も参考にしてみてください。 カナダのニューロダイバシティー教育① 1.ニューロ(脳・神経)ダイバーシティ(多様性)とは? https://gieri-jp.blogspot.com/2025/02/1.html カナダのニューロダイバシティー教育② とにかく褒められて育つカナダの子どもたち https://gieri-jp.blogspot.com/2025/02/blog-post_20.html カナダのニューロダイバシティー教育③ カナダの雄大な自然の中で、次世代を担うための人間力が養われる https://gieri-jp.blogspot.com/2025/02/blog-post_21.html カナダのニューロダイバシティー教育⑤ 学校教育との関わり 敵対ではなく「チーム」 https://gieri-jp.blogspot.com/2025/...

カナダのニューロダイバシティー教育③ カナダの雄大な自然の中で、次世代を担うための人間力が養われる

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③カナダの雄大な自然の中で、次世代を担うための人間力が養われる カナダでは、その広大な自然を活かして、五感をたくさん使った体験学習や野外教育が多く取り入れられています。成長期に大切な、脳や神経回路、身体づくりを積極的にっているのです。 日本で野外教育というと自然体験という認識が強いかもしれませんが、カナダでは野外教育からさまざまな学問を学ぶ事が出来ます。  例えば小学校では、生物や植物の勉強をするのに、自分たちで畑を作ることから体験したり、蜂を飼って観察したり、生態系を学んだりする学校もあります。野外教育を通して、 社会学、体育といった教科の単位も取得できることもあります。現在日本でも行われ始めているプロジェクト学習のスタイルをとることが多いです。   自然や環境保護について学ぶことはもちろんですが、 次世代を担う若者たちに必要なスキルとして、協調性、問題解決能力、リーダーシップ力、自己肯定感、を身につけることと同じように、「地球を理解する力」「社会課題に向き合う力」といった人間力を育てるプログラムが、カナダ全土で取り組まれています。 生活の中や、身近なものを教材にする授業も日常的に行われており、数学のクラスでは、数字やパターンを勉強するのにカレンダーを作ったり、英語の勉強では特に絵本で読み聞かせや、その内容についてグループで感想発表したり、演劇にしたりして学びます。 中学、高校になると物理の勉強では、教科書で物理の勉強をするだけでなく、小さなリニアモーターカーを作ったり、橋の模型を作ったりすることで、現実社会の産業にどう物理学が使われているかを学びます。 〇〇を学ぶビジネスクラスというものもあり、アートが得意な生徒が広告デザインを作ったり、実際の学校の売店を学生が運営したりします。3DCadを勉強するのに実際の家の模型を作ったり、映像を学ぶのに実際の学校の放送を生徒が作ったりします。 以下の記事も参考にしてみてください。 カナダのニューロダイバシティー教育① 1.ニューロ(脳・神経)ダイバーシティ(多様性)とは? https://gieri-jp.blogspot.com/2025/02/1.html カナダのニューロダイバシティー教育② とにかく褒められて育つカナダの子どもたち https://gieri-jp.blogspot....

カナダのニューロダイバシティー教育② とにかく褒められて育つカナダの子どもたち

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  とにかく褒められて育つカナダの子どもたち    カナダの教育では、自己肯定感をあげることが何よりの基本となっています。特に小学校の時には、月に20名くらい表彰されます。とにかく褒めまくるのです。   「笑顔が素敵だったで賞」「挨拶がたくさん出来たで賞」「〇〇〇」「〇〇〇」など、あらゆることについて表彰され、ほぼ全員が何かしらの賞をもらうことになります。   ■ 中学生Rさんの場合   親しくしていた臨床心理士の先生からの連絡で、中学生のRさんのサポートにないることになりました。拒食がひどく、自殺未遂の傾向もあって、一日も早く家庭から離れた方がいいと思ってとサポートが開始しました。 中学ではいじめもあっていて、学校にいけず、勉強はほどんどしてない状態でした。 はじめは、サポートのためにオフィスに来るのも一苦労で、仕度に3時間かかったり、途中でいきたくなくなってしまったりと、かなり不安定でした。まずは週に1回オフィスに来てもらうことを目標に、彼女との関わりが始まりました。 はじめは 来るものやっとのことでしたが、徐々に、とてもお喋りが好きだということが分かり、ただ好きなことをお話してもらったり、やってみたい事を一緒にやる事からスタートしました。 ものすごく不安定で、途中で離席してしまうこともありましたが、 徐々に週に1回来るのを楽しんでくれるようになり、特に言語のスキルが高い事が分かってきました。 ちょうどその時、教師をしているカナダ人の友人が日本にワーキングホリデーで来ていたので、1対1で英語のレッスンをしてもらうことにしました。 Rさんは、英語を話すことも理解することもできなかったので、初回は2人とも話が通ず、しどろもどろ。Rさんは黙り込んでしまいました。英語レッスンのあと、友人も「どうしよう」と不安をこぼしてしまうほどでした。 Rさんにプレッシャーを与えてしまわないように、次回は一緒に散歩に行ったり、好きな事を一緒にやれたら十分だよね、と話していました。 しかし翌週、感動することが起こりました。 Rさんは、自分で単語帳を買い、表に英語、裏に日本語をかいて、少しでも会話できるようにと、準備してきてくれたのです。 そのとき、友人はとても感動した気持ちをRさ...

カナダのニューロダイバシティー教育① 1.ニューロ(脳・神経)ダイバーシティ(多様性)とは?

 1.ニューロ(脳・神経)ダイバーシティ(多様性)とは? カナダで行われている教育の考え方の基盤となっているのが、ニューロダイバーシティです。これは、オーストラリアの社会学者ジュディ・シンガーが1990年代に提唱したもので、脳や神経と、それによる個人の多様性を表しています。   自閉症スペクトラムや注意欠陥多動障害(ADHD)、学習障害(LD)などの発達障害は神経学的には「違い・特性」に過ぎないと捉え、特定の能力が欠如している意味を含む「障害」ではなく、あくまで人間の遺伝子の自然な個体同士の違いによる「特性」であるという考え方です。 カナダの小中学校では、日本で言われる発達障害の子どもだけでなく、例えば車椅子で生活する子も、視覚障害や聴覚障害を持つ子も同じ教室で学びます。   現地で出会った学習障害を持つ子は、「アコモデーション」といって教師がその生徒の興味や能力の範囲に応じて、他の生徒とは違う課題が出されていました。 日本では、それは時に特別扱いだったり、差別のように捉えられかねませんが、他の生徒に、そのことについてどう思うか尋ねたところ「その子にとって必要な勉強をしていて、私たちには私たちの課題があるからそれでいい」というような返事が返ってきました。 「アコモデーション」を受けている本人も、そうでない生徒も、みんなが自分にとって必要な学習をしている、という考えが浸透していて、それがごく当たり前の光景となっているのです。   このように、一人ひとりの興味や能力に応じて学習を進めていくカナダの教育に欠かせないのが、エデュケーション・アシスタント(EA)の存在です。障害の重度によって、一人の生徒に一人の担当がついたり、数名に一人ついたりします。 これについても、カナダの子どもたちは幼少期から、人それぞれに合った課題や支援があるということが当り前の環境なので、EAがついている子どもがなにか特別視されるということもありません。 このEAのサポートおかげで、学級担任は教科ごとの授業やクラス全体のことに集中できるというメリットもあります。   こういった環境で育った子ども達は、自然とニューロダイバーシティの概念が身についていきます。それについて教えることができる大人も身近に存在し、将来自分もEAとい...

子育てに最も大切なただ一つのこと2025 

子どもの個性・特性を大切にし、多様性が求められる時代にあって、 子育てに最も大切なことは子どもを「傷つけない」ことただ一点につきると思われます。 子育てに「解答はない」という識者が多数いる中で、子育ての「解答」を提供する子育て支援のビジネスが沢山広まっています。子どもも多様な時代、親も多様、自分自身も個性があるにもかかわらず、模範解答にすがり、答えを欲しがる方が多いです。 現在の世相をよく反映しているのでしょう。   子育て経験者や成功者の話が、自分や我が子、我が家に当てはまるのか、立ち止まってみる必要があるかもしれません。   そんな中で、より普遍的な親子問題を考えたとき特筆すべき課題は 「愛」ではないでしょうか。   「愛情もって育てる」ことに誰も疑義を申さないけど、「愛ゆえに」間違いを起こしてしまうことが、私たち人間には実に多いと思われます。   子育ては子どもが大人になっていないという限りで「未熟」ですが、 我々親自身も、子が生まれることではじめて「親」になるわけで、「未熟」な親なのです。   未熟な親であれば、それと気づかぬうちに子どもを傷つけてしまうことがあります。 「子どもを愛しているから」 「子どものことを心配して」 「子どもの将来のことを考えて」、 親たちは子どもを傷つけているという事実が例外なくあるからです。 このような感情的事実に思い当たることはないでしょうか。 私にはあります。   誤解を恐れずに申せば、 愛ゆえに、親が無理をして、子どものことを想像し、 自分の想いを我慢して、理解し、共感しようと努力すればするほど、 子どもに負債を要求することになります。 つまり、「あなたのためにこれだけ努力してきたのだ」から、 「あなたも見返りをよこしなさい」というメッセージになりかねないのです。 「誰に食わしてもらっているんだ!」と言っているのと同じです。 この発言に対する子供からの回答は、 「産んでくれと頼んだ覚えはない」です。   「親」自身も子育てをする家庭で「成熟」していかなければなりません。 だとしたら、「親」は子どもに、リスペクトをもって接しなければなりません。   この着想は、もち...

3good things(スリーグッドシングス)とは?

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スリーグッドシングス (Three Good Things)は、ポジティブ心理学の一環として提唱されたメソッドです。日々の生活の中でポジティブな出来事に意識を向けることを目的としています。アメリカの心理学者マーティン・セリグマン博士によって開発され、幸福感や自己肯定感を高めるためのシンプルな習慣として広く知られています。 実践の方法はとても簡単です。 寝る前に、その日に起きた良いことを3つ書き出します。 どんなに小さな出来事でも構いません。 例えば、「美味しいご飯を食べた」「友達と楽しい会話をした」など、日常の中で感じたポジティブな瞬間を記録します。 書き出す際には、具体的な内容を心がけることが重要です。 何が良かったのか、どのように感じたのかを詳しく記述することで、ポジティブな感情がより強化されます。 そして一番重要なこと 継続 この習慣は、毎日続けることでその効果が発揮されます。最初は難しいかもしれませんが、徐々にポジティブな出来事を見つけやすくなるそうです。 とてもシンプルなのですが、幸福感を強め、ストレスを解消し、自己肯定感を高めることが科学的な研究で報告をされています。 私たちGIERI(ジエリ)では、Lineの「ジャーナリングサービス」でも「three good things」が記載できるようにしています。子育て中のお母さま、お子様の様子に疲れを感じることも多いでしょうが、一日を通じて、「よかったこと」に目を向けてみてください。幸せの「瞬間」はたくさんあったはずです。 以下の記事も参考にしてみてください。 「子育てジャーナルのすすめ」 https://gieri-jp.blogspot.com/2025/01/blog-post.html 「子育てアファメーションのすすめ」 https://gieri-jp.blogspot.com/2025/01/blog-post_23.html

カナダレポート①カナダの高校のリアル-日本人留学生に聞きました

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2024年10月、カナダのバンクーバーへ学校視察に行ってきました。 ある高校で偶然、日本人の留学生にお会いし、お話を伺うことができました。 「カナダ教育」の評価は世界的に高いですが、 実際にそこへ留学した日本人の生徒はどう感じているのか?聞いてみました。 ※学校名や個人が特定されないよう記述を配慮していますので、ご了承ください。 ■留学して大変なことは何ですか? 何よりも英語の学習が大変とのことでした。というよりも、英語だけが大変で、学んでいる内容については難しくないとのことでした。英語で授業を受ける語学力を身につけることに専念しており、お会いしたときも、英語の自習をしていました。 授業のキャッチアップができる補講のような時間が用意されており、そこで各自、必要な自習をし、サポートの教員がついてフォローしているようでした。 ■授業はどうですか? 語学力の問題はありますが、「教科」として扱われている内容は難しくないとのことでした。日本のような「教科科目」での学習は少なく、PBL(プロジェクト学習)がほとんどとのこと。 カナダでは、プロジェクトベースの学習が重視されており、学生は実際の問題を解決するためのプロジェクトに取り組むことで、理論を実践に結びつける経験を得ます。他の教室では、環境問題に関するプロジェクト、ビジネスプラン・キャリアに関するプロジェクトの授業が行われていました。 ■将来について 大学受験がないので、カナダの高校生はのんびりと過ごしています。ただその留学生が話すには、カナダの高校にいては日本の受験には全く歯が立たないということで、帰国したら猛勉強をする必要があるとのことでした。日本の進学校やトップ校で学ぶような高度な内容は全くないようでした。少なくとも日本の高校の教育水準は低くはないようです。もちろん、大学入学後の学びが違うのかもしれません。そもそも、クラス全員が大学受験するという同質的な環境がカナダにはありません。 ■余談ですが ハーバード大学に留学していた方から聞いた話です。ものすごく頭のいい学生がいて、どうしてそんな高度なことを学んでいるのか?アメリカの学校はすごいね、と聞いたところ、学校ではなく「家庭教師」からだということでした。 ハーバード白熱教室で有名なマイケル・サンデル教授が、アメリカの学生が家庭教師から特別な勉強をしている話が多々でてきま...